野球やゴルフのようなスウィングをするスポーツやスマッシュを行うようなラケットスポーツ、はたまたダッシュをする陸上競技のような様々なスポーツ現場においてコーチに「腰のキレを出しなさい」という言葉はよく聞くと思います。
腰のキレ=腰の捻り、捻りの速度などいろいろな考えはあると思いますが多くは「腰の回旋」を伴ったものだととらえられていると思います。
今回は腰の動きにスポットをあてていきたいと思います。
そもそも腰椎は回旋しない
いきなりなのですが、腰椎は回旋角度としてはあまり回旋しません。腰椎が作る椎間関節は回旋に適した関節面になっていないのが理由になっています。
わかりづらいかもしれませんが上の丸く囲った部分が腰椎の椎間関節になります。腰椎の椎間関節面は矢状面といった面に近い角度でできてるのでお辞儀をするのに適した関節面になっています。
矢状面とは人間の正面から二つに分ける面です。
ウィキペディアより
この面に適した関節は前後運動をすることになるため腰椎は「お辞儀」に適した関節になります。
両手を伸ばして手のひらと手のひらを重ねてみてください。
そこから手をこするような動作をすると縦方向しか動きませんよね!?この動きが腰椎の動きになります。
それではどこが回旋するのでしょうか?
脊椎の回旋のメインは胸椎!?
今度の赤く丸くしてる所は胸椎の椎間関節になります。胸椎の椎間関節の関節面は前額面に近い角度の関節面です。前額面は身体の側屈や回旋の動きに適した角度になります。前額面とは先ほどの矢状面に90°に交わる面です。
前額面での動きは胸の前で手を重ねてください。そこから動かすと先ほどの矢状面での動きと90°違う動きになると思います。
その動きは身体の側屈に適した動きになります。
胸椎はこの前額面よりやや角度がついていますので、側屈だけではなく回旋にも適しているのです。
では実際どのようになっているかを見ていきましょう。
参考文献 筋骨格のキネシオロジー
この図は脊椎の運動の角度を図にしたものです。真ん中の青い所が回旋です。
回旋ををしているところは腰椎は少なく胸椎の上部にいくにつれ回旋角度がついていくのがわかると思います。
それに比べ腰椎は胸椎に比べ3分の1も回旋しないのがわかると思います。
実際の回旋運動
では実際の見た目の回旋運動はというと上の図の回旋角度以上に身体は捻れていると思います。
それはなぜかというと身体の捻りは背骨だけで捻っていないからです。
この写真を見てもらったらわかるのですがからだを捻る際必ず股関節の回旋が加わります。
ためしに股関節を動かさないで体を捻ってみてください。
捻れませんよね!?
このように身体の捻りは股関節の内旋運動を伴って動くのです。
腰のキレとは!?
つまり腰のキレとは腰だけの動きだけではなく胸椎の回旋、股関節の回旋を伴った運動になります。
この事を理解しなく腰の回旋だけを求めると必ず起こるのが腰椎の破綻です。
つまり腰の故障です。
上位胸椎の回旋や股関節の動きがないままに腰のキレだけを求めると必ず腰のオーバーユースになり腰の故障を生じることになります。
実際、腰椎分離症などのアスリートを診さしてもらうと多くのアスリートは胸椎や股関節の可動域が狭い事が多いです。(むしろほとんどといっていい程です。)
腰のキレを出す為に
つまり腰のキレを出す為に必要となるのは上位胸椎の回旋と股関節の動きになると私考えております。
この動きを出さずに腰のキレを出すと必ず故障につながると私は思っております。
ほかの関節が動かないまま腰だけを動かそうとすると必ず腰はオーバーユースになります。
股関節、胸椎が動かないままプレーをして腰椎分離症やヘルニアになったアスリートを沢山診てきました。
つまり腰のキレを出すために必要なことは腰ではなく、胸椎の回旋と股関節の可動性が必要になるということです。
これを理解せずに腰のキレだけを出そうとすることは故障につながるということを覚えておいてくださいね!
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