上腕二頭筋は力こぶを形成する筋肉で、肘の屈曲するのに大きく関与する筋肉です。二頭筋で長頭と短頭で構成されています。
構造上、上腕二頭筋の断裂や上腕二頭筋長頭腱炎やSLAP損傷などさまざまなスポーツ外傷などにも関係します。
臨床には非常に重要になりますので一緒に学習していきましょう。
上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)の起始、停止、神経支配
上腕二頭筋は上述したように長頭と短頭に分かれています。長頭と短頭は肩関節と肘関節にまたがるようについているため二関節筋となります。
基本的なデータをみていきましょう。
上腕二頭筋長頭、起始停止、作用
起始 | 肩甲骨関節上結節、上方関節唇 |
停止 | 橈骨粗面、前腕屈筋腱膜 |
神経支配 | 筋皮神経(C5~C6) |
作用 | 肘関節の屈曲、肩関節の屈曲、前腕の回外 |
栄養血管 | 上腕動脈 |
上腕二頭筋短頭、起始停止、作用
起始 | 肩甲骨烏口突起 |
停止 | 橈骨粗面、前腕屈筋腱膜 |
神経支配 | 筋皮神経(C5~C6) |
作用 | 肘関節の屈曲、前腕の回外 |
栄養血管 | 上腕動脈 |
上腕二頭筋長頭は肩甲骨関節上結節、上方関節唇から始まり関節内を抜けて上腕骨の結節間溝を通り上腕部に出ていきます。関節内の長頭腱は烏口上腕靭帯の下方で棘上筋と肩甲下筋の間(腱板疎部)を走行します。
上腕二頭筋短頭は烏口腕筋と合流し、共同腱を形成し烏口突起に付着します。
上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)の筋機能
上腕二頭筋は先ほども書いたように肩関節、肘関節をまたぐ二関節筋ですので両方の関節運動に関係します。また肩関節の運動作用は肩関節の姿位によって変わります。
肩関節下垂位では肩関節屈曲、90°外転位では水平屈曲に作用します。
また上腕二頭筋は肘関節の強力な屈筋ですが、前腕の回外運動にも強力に作用します。
上腕二頭筋は特に前腕が回外しているときに肘関節の屈曲の主動として大きな力を発揮しますが、肘関節が屈曲している状態は前腕の回外動作で大きな力を発揮します。
しかし、前腕が回内すると橈骨が回転してこの筋肉の停止部がずれるので、屈曲力は弱くなります。
上腕二頭筋の肩関節の安定性作用
上腕二頭筋長頭は上方関節唇を持ち上げる事により上腕骨頭の上方移動を抑え、肩甲上腕関節の安定性を出しています。
また結節間溝内を滑走し外旋位で緊張を増加します。この上腕二頭筋長頭腱の緊張は骨頭の求心性を高め、肩甲上腕関節の安定性を高めます。
上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)と臨床
肩関節周囲炎の中に上腕二頭筋長頭腱炎がありますが、これは上腕二頭筋長頭腱が結節間溝を通る時に、鋭角な角度で通過するため炎症を起こしやすいために起こるといわれています。
また上腕二頭筋長頭腱の強力な牽引力や上腕骨頭の剪断力によって、肩上方関節唇損傷を引き起こします。
上腕二頭筋長頭腱の断裂では上腕二頭筋の筋腹が下垂し特徴的な膨隆が診られます。
上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)のトレーニング
上腕二頭筋はダンベルがあると効率的に鍛える事が出来ます。
まとめ
上腕二頭筋は多くのスポーツ障害にも関係する筋肉です。しっかり学習して臨床に備えましょう。
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