上腕筋は、上腕二頭筋の深層にあり上腕骨を覆うようについています。
上腕骨と尺骨に付くため純粋に肘関節の屈曲に関与する筋肉ですが、上腕筋は骨格筋としてのこの屈曲という作用よりも臨床的には関節筋という作用も非常に重要になります。
是非一緒に学習していきましょう。
上腕筋(じょうわんきん)の起始停止、の起始、停止、神経支配
上腕筋は単関節筋で主に屈曲作用を有します。
まずデータをみていきましょう。
一枚目の図は露出している状態で、二枚目は元の状態です。
起始 | 上腕骨掌側面遠位1/2、筋間中隔 |
停止 | 尺骨粗面、肘関節前方関節包 |
神経支配 | 筋皮神経(C5~C6) |
作用 | 肘関節の屈曲 |
栄養血管 | 橈側反回動脈 |
上腕筋は腱成分が非常に少なく、筋肉全体が筋腹のような形態で扁平な形になっています。また上腕筋の深層筋群は直接関節包に停止し、関節筋の役割をしています。
本来関節内圧は陰圧ですが,関節運動によりその関節内圧は変化します。関節包はその関節の変動する内圧に影響を受けます。運動によって通常よりもさらに陰圧になったとき,関節包は関節のなかに吸い込まれたり、巻き込まれてしまう可能性があります。それを防ぐために,主な関節には最深層の筋線維を関節包に停止する「関節筋,あるいは関節包筋」が存在しています。
これらの上腕筋の深層線維群は肘関節を屈曲した時にたるむ関節包を収縮とともに引きだし挟み込みを防止します。
また神経支配は筋皮神経支配ですが外側部は、橈骨神経だというデータもみられます。一緒に覚えていてくださいね!
上腕筋(じょうわんきん)の筋機能の特徴
上腕骨の関節運動の主な働きは肘関節の純粋な屈曲運動です。他の上腕筋群は前腕の回内、回外運動に作用しますが、上腕筋だけは屈曲のみに作用します。
しかし、上述したように上腕筋の働きで覚えていてほしいのは、関節の挟み込みを予防している関節筋としての働きです。
上腕筋(じょうわんきん)と臨床
肘関節屈曲拘縮の原因の一つに上腕筋の線維化があります。外傷後で線維化してしまうことがあります。
また肘屈曲に肘窩に痛みがある場合、上腕筋が関節筋としての働きが悪いために肘関節内で前方関節包がインピンジメントをしていることがあります。
この場合EMSなどを使い、他動的に上腕筋の収縮を誘導することにより疼痛が緩和すること多くあります。
上腕筋(じょうわんきん)のトレーニング
上腕筋だけを鍛えることはほぼないとは思いますが、オススメな種目はダンベルカールです。
まとめ
上腕筋は学生時代の解剖学ではそんなに重要視されない筋肉ですが、臨床上大事な筋肉です。肘の関節筋などの働きは頭に入れておくことはとても大事なことです。
是非おさらいしていてくださいね!
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