知られざる大腿筋膜張筋の働きと関係する事|O脚、腸脛靭帯炎、腰痛|大腿筋膜張筋の起始、停止

筋肉

大腿筋膜張筋は股関節の働きにも膝関節の安定などにもかかわる重要な筋肉です。O脚などにも関与し注目したい筋肉です。是非セラピストには理解しておきたい部位ではあります。アスリートもしっかりストレッチやトレーニングをするよう覚えていってくださいね。

解剖学的特徴

起始上前腸骨棘
停止腸脛靭帯につき、脛骨粗面の外側のガーディ結節
神経支配上臀神経(L4~S1)
作用股関節の屈曲、外転、内旋
栄養血管上殿動脈(内腸骨動脈最大の枝)

上前腸骨棘を中心にして前下方(膝関節方面)に縫工筋が走り、後下方に大腿筋膜張筋が走行します。その後、大腿筋膜張筋は腸脛靭帯につき、腸脛靭帯の緊張度を調節して間接的に膝関節の安定に関与します。

 

腸脛靭帯を介して、大腿筋膜張筋は膝関節の角度により屈曲にも伸展にも作用します。膝関節屈曲90°未満では伸展運動に関与し、膝関節屈曲90°以上では屈曲運動に関与します。また下腿の外旋にも作用をしています。

 

臨床における大腿筋膜張筋

大腿筋膜張筋の筋緊張が強く、中臀筋の働きが弱くなることでニーイン トゥアウト(Knee-in Toe-out)の原因になります。ニーイントゥアウトとは膝が内側を向き、つま先が外側を向く状態で、シンスプリント、オスグッド、前十字靭帯の損傷などの原因にもなります。気をつけておきたい体の状態です。

 

また大腿筋膜張筋の緊張が強くなると、腸脛靭帯を引っ張るので腸脛靭帯炎の原因にもなります。腸脛靭帯炎は腸脛靭帯と大腿骨の外側果の間で摩擦が起こり炎症を起こした状態です。予防には大腿筋膜張筋のストレッチが有効です。

 

腸脛靭帯炎の記事はこちらをクリックお願いします

オスグットや脊椎分離症、シンスプリントのほとんどに大腿筋膜張筋の緊張が診られる。

腰痛の原因になる大腿筋膜張筋

大腿筋膜張筋が原因で腰痛になることがあります。

大腿筋膜張筋で反り腰になる!?

大腿筋膜張筋など股関節の屈筋群が硬く短縮すると骨盤が前傾します。筋肉としては股関節を屈曲するのですが立位になると足に骨盤が引っ張られ結果として骨盤が前傾することになります。

 

骨盤が前傾することにより腰椎は前弯を強め結果として反り腰になります。反り腰になると重心線より前側にショックを吸収する椎間板が位置することになりますので、上手く体重を支える事が出来なくなります。そして重心が通るラインに椎間関節や椎弓が通ることにより、その部位を破綻させ、脊椎分離症を起こしたりします。

このように大腿筋膜張筋の緊張により腰痛の原因になります。

股関節の内旋運動が腰部の回旋に影響する

スポーツでよく腰の回旋(捻り)は大事といわれます。しかし、多くの人は腰椎は回旋に向いていない事は知りません。腰椎の得意な動きは前後屈といった前後の動きです。腰椎で回旋運動があるのはL5~S1間の椎間関節ぐらいです。

それではどこが回旋運動をしているかというと多くは胸椎の回旋と股関節の内旋運動です。

股関節の内旋運動をだす筋肉の1つは大腿筋膜張筋です。大腿筋膜張筋の機能不全になると腰椎に代償運動があり腰椎が破たんします。

この結果腰痛をだす要因の1つになります。

O脚の原因の1つは大腿筋膜張筋

大腿筋膜張筋は腸脛靭帯に付着します。大腿筋膜張筋が緊張すると腸脛靭帯が引っ張られ緊張が強くなります。腸脛靭帯は脛骨の外側につくので、結果膝関節の外反方向に力が加わりO脚の原因になります。

 

大腿筋膜張筋のトレーニング

股関節の外転運動に使いますので重りなどをつけて運動してください。この際外転筋がうまく使えないと外旋運動や体幹の捻りなどを使って代償運動をしてしまうのでしっかり骨盤を前に向けておこなってください。

大腿筋膜張のストレッチ

まとめ

大腿筋膜張は運動において非常に大事な筋肉といえます。しっかり理解をしましょう。

 

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