大殿筋はお尻の筋肉の中でも一番大きい筋肉で主に股関節の伸展(足を後ろに引く)に働く筋肉です。大殿筋を鍛えることによってヒップアップにも繋がりますし、美しいボディメイクにもつながります。また大きい筋肉なので代謝が上がるためダイエット効果にも期待が出来ます。
またアスリート・スポーツ選手には股関節の痛みやハムストリングスの肉離れを繰り返す選手は大臀筋が使えていない事が多く、しっかり使えるようになってほしい筋肉です。
是非勉強をしていきましょう。
解剖学的特徴
大殿筋は起始により上部繊維と上部繊維に分けられます。
上部繊維 | 起始 | 腸骨稜、上後腸骨棘、腰背腱膜、仙骨、尾骨 |
停止 | 腸脛靭帯 | |
作用 | 伸展、外旋、外転 | |
下部繊維 | 起始 | 腸骨外面の後臀筋線の後方、仙結節靭帯、中臀筋の筋腹 |
停止 | 大腿骨臀筋粗面 | |
作用 | 伸展、外旋、内転 |
支配神経 | 下臀神経(L5~S2) |
栄養血管 | 上殿動脈および下殿動脈 |
大殿筋はハムストリングと共同で動き股関節の伸展に作用します。それと併せて股関節の外旋にも作用します。
下肢を固定した状態では骨盤を後傾させます。また大臀筋は腰背腱膜に付着し緊張を調節し、間接的に腰部の安定性に関与します。
大臀筋は歩行周期中の踵接地期に最も働きよく働きます。これは踵接地期に生じる骨盤・体幹の前方への屈曲力に対する筋活動です。
臨床における大殿筋
中殿筋は股関節の左右における安定化に強く関与するのに対して、大臀筋は前後方向の安定化に対して関与します。
またスプリンターのスタートダッシュににおける大殿筋、ハムストリングの機能は大変重要であり、ダッシュ力のために強化するべき筋肉の一つになります。
また股関節の痛みを繰り返すアスリートやハムストリングスの肉離れを繰り返すスポーツ選手はハムストリングが優位に動き、大臀筋の活動が少ない選手が多いです。
大殿筋は股関節疾患には非常に重要
この写真は大腿部を横から見た図で赤い線はハムストリングを表しております。ハムストリングは坐骨(骨盤の骨)から始まっており、大腿骨を通り抜け下腿の骨に付着しております。このためハムストリングは大腿骨の安定性に関してあまり関与しておりません。
それに比べ大臀筋は骨盤から始まり大腿骨に終わるので大腿骨の安定に関与しております。また上述しておりますように、股関節に問題のある方は大臀筋が使えず、ハムストリング優位で動く傾向になります。
そのため大腿骨の骨頭が前方に転移して股関節前面のインピンジメント(衝突症候群)の原因になります。
詳しくはこちらをご覧になってください→股関節の前方のつまりの原因
大殿筋のおススメトレーニング
【ハムストによる腰痛リスク】
股関節を伸ばす(伸展)動きは、地面を蹴る、ボールを打つなど頻繁に使われます。
しかし、この時ハムストだけに頼ってしまうと腰痛リスクとなってしまいます。
↓のエクササイズのように、大臀筋→ハムストの順に使えるのがベスト。
おしりを使う感覚は大事ですね。 pic.twitter.com/Cx3cuvcrnt
— 西川 匠 Takumi Nishikawa (@physio_tennis) November 24, 2018
このように腰(多裂筋)→大臀筋→ハムストリングスの順に筋肉を動かすイメージは重要です。
ブルガリアンスクワット
ブルガリアンスクワットは大臀筋からハムストリングまでしっかり鍛えられるトレーニングです。動画を見て参考にされてください。
やり方
- ベンチや椅子から60㎝~90㎝離れた状態で、後ろ向きに立ちます。
- ベンチや椅子につま先、又は足の甲を乗せて、背筋を伸ばします
- 反対側の足を前方に出します(※これまでがセットポジションになります)
- 前方に出した方の脚の膝をゆっくりと曲げて、腰を落としていきます。
- 膝が90度くらいまで曲がったところで、一度静止します。
- 曲げた膝を伸ばして、元の体勢に戻ります。
- 回数を取り組んだら、反対側の足も同じように鍛えていきます。
大殿筋のストレッチ
大殿筋のストレッチをすることにより腰痛の解消になったり、股関節の痛みが軽減したりします。
またハムストリングの肉離れにも関係しますのでしっかり取り組みましょう。
まとめ
大殿筋は股関節疾患や腰痛、ハムストリングの肉離れまで関係する非常に大事な筋肉です。しっかりケアをしていきましょう。
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