膝窩筋は膝の裏側にある筋肉で、膝の安定性には非常に重要な筋肉です。
膝の痛みのある方にはかなりの頻度でみる筋肉になります。しっかり触診が出来るようになりたい筋肉のひとつです。
そのためにはしっかり基礎分野を知ることが大切です。セラピストはしっかり学習をしましょう。
膝窩筋(しつかきん)の解剖学的特徴
起始 | 大腿骨外側上顆の外側面 |
停止 | ヒラメ筋線よりうえの脛骨後面上部 |
神経支配 | 脛骨神経(L4~S1) |
作用 | 膝関節の屈曲、下腿の内旋 |
栄養血管 | 膝窩動脈 |
膝窩筋の起始の一部は外側半月板(LM)に付着しています。内側半月板の後方には半膜様筋が付き外側半月板には膝窩筋が付き膝関節屈曲の際には挟み込み(インピンジメント)防止の役割をしています。また膝窩筋筋腹には半膜様筋の繊維が一部合流しています。
膝窩筋の筋機能の特徴
膝窩筋は膝関節の屈曲および下腿の内旋に作用します。また膝窩筋は膝関節屈曲とともに外側半月板を後方へと引き、大腿骨の顆部との挟み込みを防ぎます。膝関節を他動的に屈曲した際に膝窩部に痛みを訴える場合には外側半月板の挟み込みを生じていることもあり膝窩筋の収縮を誘導することで症状が消失するケースもあります。
さらに膝窩筋は膝関節完全伸展位において生じている外旋固定(スクリューホームムーブメント)のロックを外す役割があるといわれています。
膝関節完全伸展位では下腿を外旋することによって、膝関節の全ての靭帯が緊張することによって安定性がピークになります。
膝窩筋は膝関節完全伸展位から膝を屈曲するときの初期屈曲の際、下腿を内旋させロックを解除し屈曲させやすい状態にさせます。
この状態より、大腿二頭筋や半腱様筋、半膜様筋といったハムストリングスによって膝は屈曲されます。
また、膝窩筋は膝関節の後方の安定性に関与します。膝関節の屈曲に関与する筋肉は、大腿二頭筋や半腱様筋、半膜様筋などは二関節筋で膝窩筋のみ単関節筋になります。
筋出力も膝窩筋よりもハムストリングスの方が強く、膝窩筋の方が弱いのはすぐにわかることです。そのため膝関節の屈曲のモビリティマッスルはハムストリングス、スタビィリティマッスルは膝窩筋ということは容易に考える事が出来ます。
膝窩筋の臨床
他動的な膝関節屈曲の際、膝窩部痛を訴えるケースの多くに膝関節の圧痛をみられることが多いです。この場合は膝関節が完全伸展位になる事が出来ずになっていることが多いです。
ニーイン・トゥーアウト(Knee in – Toe out)のアライメントのアスリートの膝窩部の痛みの原因に、膝窩筋のコンパートメントの内圧上昇に由来したものも多いです。
膝窩筋のストレッチ
膝窩筋は膝関節の痛みがあり、膝を最後までの伸ばしきれないようなときにストレッチをしてあげると痛みが少なくなる時があります。
痛みが出たりするときは無理に伸ばすと逆効果の時もありますので無理はしない様にしてくださいね。
椅子に深く腰をかけて脚を伸ばし、爪先を上にしていきます。太ももの裏まで聞くようにしっかりと伸ばしていき、5秒間くらい延ばしていきます。
爪先をグッと伸ばしていい、すねあたりをストレッチしていきます。脚をまっすぐにしにくい方は太ももの下に片方の足を敷くようにしますと脚を伸ばしやすくなります。
片足を椅子に乗せ、つま先を外に開きます。状態を前に倒しながら腰を沈めていきます。
膝窩筋のマッサージ
膝の裏にある膝窩筋をボールを使ってセルフマッサージをしていきます。この時に痛みが強く出る場合は無理にすることはやめてください。
無理に行うと変ええて痛みがひどくなったりします。
膝窩筋をしっかりケアをすることによってさまざまな効果があります。上述したように膝窩筋は膝の安定性に関与するため、膝窩筋をケアすることにより
- 膝の痛みを緩和する
- シンスプリントなどを予防ができる
- 足のだるさを解消する
などの効果を望むことができます。ためしに行ってみてください。
まとめ
膝窩筋は膝の裏にある筋肉で小さな筋肉ですがここをケアをすることで様々な効果があります。またセラピストとして外側半月や膝のインピンジメントの事を考えるとしっかり学びたい筋肉です。
しっかり学習をしましょう。
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