肩甲骨の安定性とオーバーヘッドスローイング動作の痛みについて|投球肩のリハビリ

トレーニング

今回はオーバーヘッドスローイング動作(投球やバレーのスパイク、ラケットスポーツでのスマッシュ動作、やり投げなどのスローイング動作)で多い肩の痛みについて書いていきたいと思います。

 

肩の動作には多くのアスリートも肩甲骨の動きが重要だという事はご存知だと思います。肩甲骨の可動性を高めるとともに重要なのは安定性です。可動域を拡げる事を実施していても安定性を考えていることは少ないかもしれません。

肩甲骨の動きとともに勉強していきましょう。

 

肩甲骨の動き

肩甲骨は滑膜性の連結は少なく、また様々な筋肉が付着しているため多様な動きをします。そのため動きとその動きを出すための筋肉を把握しているのは非常に大切なことになります。

肩甲骨の内転ー外転と筋肉

青の矢印が『内転』です。

内転で動く筋肉は

僧帽筋中部線維+菱形筋+僧帽筋下部繊維+肩甲挙筋です。

主に働くのは僧帽筋の中部繊維で菱形筋や僧帽筋下部線維、肩甲挙筋がそれを補助すると考えられます。

 

赤の矢印が『外転』です。

肩甲骨の外転で動く筋肉は

前鋸筋+小胸筋です。この二つの筋肉が同時に収縮することにより上方回旋や下方回旋をせず外転運動をすることができます。

四つん這いで肩甲骨の外転運動をしっかり行わせることにより前鋸筋にしっかり刺激を入れる事が出来ます。

 

肩甲骨の挙上ー下制と筋肉

 

青の矢印が『下制』です。

下制で動く筋肉は

僧帽筋下部+広背筋+小胸筋(上方回旋時)です。

主に働くのは僧帽筋の下部繊維です。

赤の矢印が『挙上』です。

肩甲骨の挙上で動く筋肉は

僧帽筋上部繊維+中部繊維+肩甲挙筋+菱形筋です。菱形筋は働きとしては多少の働きですが補助的な役割として肩甲骨を挙上させます。

 

肩甲骨の上方回旋ー下方回旋と筋肉

青の矢印が『下方回旋』です。

下方回旋に働く筋肉は

肩甲挙筋+菱形筋+小胸筋+広背筋になります。

 

赤の矢印が『上方回旋』です。

上方回旋に働く筋肉は

僧帽筋上部繊維+僧帽筋下部繊維+僧帽筋中部繊維+前鋸筋になります。

 

上方回旋および下方回旋は肩甲骨の回旋角度により主動筋が変わります。

四十肩や五十肩などの運動制限がある際は静的なアライメントを確認して、肩甲骨のニュートラルポジションと比べどの筋肉に拘縮があるかなどをみるのは非常に大切になってきます。

そうするとフォースカップルの破綻がみえてくると思います。

 

肩甲骨の前傾ー後傾と筋肉

青の矢印が『後傾』です。

後傾に働く筋肉は

僧帽筋下部繊維+前鋸筋です。

 

赤の矢印が『前傾』です。

前傾に働く筋肉は

小胸筋です。

 

肩関節の運動における肩甲骨の前傾ー後傾

オーバーヘッドスローイング動作における肩関節障害の事に触れる上で肩甲骨の動きが非常に大事になるので、前項で長々と肩甲骨の動きについて書いてきましたが、今回一番触れたいのが肩甲骨の前後傾についてです。

 

最近のアスリートはスマホや机に座った姿勢などでスウェイバック姿勢(猫背様)や肩が前方に入った状態になっていることが多く、小胸筋が短縮されていることが多いです。

小胸筋が短縮される肩甲骨は前傾になりやすくなります。肩甲骨前傾になると著しく肩関節の関節可動域が低下します。

ためしに肩甲骨を前傾位にしてみてください。

肩の伸展(後方に腕を引いてください)してその位置で肩関節をロックして腕を動かしてみてください。どの方向にも肩関節の動きが悪くなることがわかると思います。

肩を上げるためには肩甲骨の後傾を出さなければなりません。

つまり肩甲骨が前傾→肩関節の可動域の低下→内外旋・上方回旋の低下→インピンジメントなどの障害→肩関節障害といった流れで肩関節のスポーツ障害になっていきます。

 

肩関節障害における肩甲骨の後傾の出し方

オーバーヘッドスローイング動作で肩関節の可動性を拡げ安定性を出すためには肩甲骨の後傾を出すことを述べましたが、このほかにも肩関節(GH)の内外旋を出すために必要な要素があります。

 

・肩甲骨後傾

・上位胸椎回旋

・下位胸椎、腰椎の伸展

これらのポイントが制限されると肩関節の動きが制限され肩関節に大きく負担のかかることになります。

https://twitter.com/athleteinforma1/status/1087363175870124032

うつ伏せに寝た状態で肩関節を完全屈曲位(前方挙上)にします。完全屈曲位になると肩甲骨は必ず後傾になります。

この時ペアの人から肩甲骨を前傾(上方+前方)になるように力を加えてもらいます。

この時に肩甲骨が前傾にならないように力を入れてキープします。この力に抵抗することにより僧帽筋の下部繊維と前鋸筋に遠心性収縮を起こすので肩甲骨の後傾を起こす筋肉に適切な刺激を加える事が出来ます。

 

Post / X

二つ目の物はさらに身体にねじりなどを加えた物です。

この筋肉に刺激を加える事は非常に大切なことです。

 

まとめ

オーバーヘッドスローイング動作による肩関節の痛みはこの肩甲骨の後傾をさせる事により肩関節の可動域が広がり、肩関節のインピンジメントが少なくなり痛みがなくなることは少なくありません。

是非試してみてください!

 

コメント