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それでは内容に入っていきましょう‼
はじめに

近年、痛みの治療や組織の修復を目的とした物理療法の分野で、ラジオ波を用いた治療法が注目を集めています。
この治療法は、テカール療法やCRET(Capacitive and Resistive Electric Transfer:キャパシティブ・レジスティブ電気移動)療法とも呼ばれ、日本では「ラジオ波治療」として親しまれています。
この記事では、系統的レビュー論文をはじめとする複数の研究成果をもとに、ラジオ波療法が身体組織に及ぼす効果について、分かりやすく解説いたします。
ラジオ波療法の基本原理

ラジオ波療法は、ジアテルミー(深部加温療法)に分類される電気物理学的治療法の一つです[1]。従来の温熱療法と異なり、低周波数帯(0.3~1.2MHz)の電磁波を用いることで、表面を過度に加熱することなく深部組織を温めることができる点が大きな特徴といえるでしょう。この周波数帯域により、患者さんにとってより快適で安全な治療が実現されているとされています[1]。
治療の仕組みとしては、円形の能動電極(アクティブ電極)と金属プレート状の受動電極(パッシブ電極)の間に電磁エネルギーを供給することで、組織内に熱を発生させます。能動電極には直径25mmから70mmまでのサイズがあり、「キャパシティブモード(CAP)」と「レジスティブモード(RES)」という二つの異なる作用モードを使い分けることが可能です。
キャパシティブモードでは、電極がポリアミド材料でコーティングされており、水分含有量の多い組織、すなわち脂肪組織、筋肉、軟骨、リンパ系などの比較的浅い層に選択的に作用します。一方、レジスティブモードでは絶縁材料がないため、ラジオ波エネルギーが身体を直接通過し、骨、筋膜、関節包、腱などのより深く、水分含有量の少ない組織層に熱を発生させる仕組みとなっています。
研究の背景と現状

ラジオ波療法は臨床現場で20年以上使用されてきましたが、その効果や有効性を明確に示す研究は、実は長らく不足していました。しかし、ここ数年で研究数が増加しており、徐々にその効果が明らかになってきています。
2023年に発表された系統的レビューでは、2013年から2023年の間に発表された研究を対象に、ラジオ波療法が健康な組織や病的な組織に及ぼす効果が検証されました。
この研究では、38の研究論文が選定され、合計1,240名(男性466名、女性592名)のデータが分析されています。参加者の平均年齢は51歳で、最年少は18歳、最高齢は84歳という幅広い年齢層が対象となっていました。
症状のある組織への効果

ラジオ波療法が最も顕著な効果を示したのは、痛みを伴う症状のある組織に対する治療です。研究では、膝の変形性関節症、腰痛、肩のインピンジメント症候群、靱帯損傷、腱の問題など、さまざまな筋骨格系の疾患に対して応用されています。
疼痛緩和のメカニズム
組織温度の上昇は、痛みの軽減において中心的な役割を果たしていると考えられます。熱刺激により血液循環が促進され、組織がリラックスすることで、特に筋肉組織の緊張が和らぐ可能性があります。また、浮腫や血腫の排出が改善されることも報告されています。
血流の増加は、組織への酸素供給を改善し、ヘモグロビンの酸素飽和度を高め、微小循環を活性化させ、栄養供給を促進するとともに、代謝老廃物の除去を助ける働きがあると考えられています。これらすべての効果が相まって、筋肉や関節の痛みが大幅に軽減され、組織機能の改善につながる可能性が示唆されています。
興味深いことに、2020年に発表された肩の痛みに関する研究では、ラジオ波療法群において視覚的アナログスケール(VAS)による痛みスコアが、治療前の7.23点から追跡調査時には2.68点まで改善したことが報告されています。対照群ではこのような改善は見られませんでした。
筋機能と関節可動域の改善
痛みの軽減だけでなく、関節や筋肉の機能改善も重要な効果として報告されています。2022年に発表された遅発性筋肉痛に関する研究では、偏心性運動(筋肉が伸ばされながら力を発揮する運動)後48時間にラジオ波療法を30分間実施したところ、膝の屈曲可動域、等尺性および等張性の最大筋力、筋肉痛のすべてが有意に改善したことが示されています。
筋肉の疲労回復においても、ラジオ波療法は休息や手技療法よりも効果的である可能性が示されています。筋肉内の血流増加が、激しいトレーニング後の筋肉回復を促進し、筋疲労をより迅速に改善する可能性があるとされています。
運動療法との併用効果
複数の研究から、ラジオ波療法を運動療法や他の理学療法手技と組み合わせることで、筋肉の回復、痛みの軽減、関節や筋肉の可動性向上において、より良い結果が得られる可能性が示されています。ある研究では、激しいトレーニング後にラジオ波療法を行った群では、休息のみの対照群と比較して、大腿四頭筋の柔軟性と弛緩がベースラインにより早く戻ったことが観察されています。
2018年の研究では、疲労を引き起こす運動セッション後に実施された場合、歩行のバイオメカニクスパラメータ(歩幅、歩行頻度、歩高、歩行角度)がラジオ波療法により受動的休息よりも速く改善したことが報告されています。
ただし、注意すべき点として、競技前にラジオ波療法を使用してもアスリートのパフォーマンス向上には結びつかなかったという研究結果もあります。これは、血流の増加が筋肉の回復には効果的である一方、パフォーマンスの向上には直接つながらない可能性を示唆しています。
健康な組織への効果

症状のない健康な組織に対しても、ラジオ波療法は有益な効果をもたらす可能性があることが報告されています。
柔軟性と組織の伸展性向上
熱により血流が増加することで、一部の組織において柔軟性と伸展性が改善される可能性が示されています。2018年の研究では、疲労を引き起こす運動後のラジオ波療法により、筋肉の柔軟性が改善され、骨盤の傾きの変化が緩和されたことが報告されています。
深部組織温度の上昇
ラジオ波療法の大きな特徴は、表面だけでなく深部組織の温度も上昇させる点にあります。従来のホットパックなどの表層的な温熱療法では筋肉まで熱が届かないのに対し、ラジオ波療法では組織の電気抵抗性により、深部筋肉組織の温めが可能となります。これにより、ヘモグロビン飽和度の改善と温度上昇が生じるとされています。
循環する血液が熱を周辺領域に拡散させることで、治療される組織の温度を望ましい範囲内に維持し、近隣組織における望ましくない高体温症や、皮膚火傷を引き起こすほどの過度な熱を避けることができるとされています。
浮腫とリンパ浮腫への効果

温度上昇による筋肉の弛緩に加えて、持続的な浮腫からの体液再吸収の増加も報告されています。2019年に発表されたリンパ浮腫に関する研究では、ラジオ波療法を他の手技(手技療法による排液、加圧療法)と比較したところ、ラジオ波療法の方がより効果的で、かつ必要なセッション数も少なかったことが示されています。
別の研究では、大腿骨骨折後の浮腫治療にラジオ波療法を使用したところ、4回目と7回目のセッションで有意な改善が見られたと報告されています。
非温熱効果:細胞レベルでの作用
ラジオ波療法の温熱効果は、中程度から高強度で生じることが知られていますが、低強度での使用時には非温熱効果も認められています。低強度でも細胞の代謝活動を加速または増加させるのに十分であるとされています。
電流の流れは、ほとんどまたはまったく温熱効果を伴わずに、組織内で電磁相互作用を生じさせる可能性があります。温熱効果とは異なり、ラジオ波の非温熱効果は主に細胞レベルで生じると考えられています。これにより、組織温度の上昇によって生じる炎症プロセスの増加を引き起こすことなく、急性期および亜急性期の疾患を治療できる可能性が示唆されています。
2014年に発表された研究では、40℃の温度でラジオ波治療を受けた人間の組織の組織学的検査において、網状真皮がより厚く、より整然としていることが示され、炎症の兆候なしにコラーゲンのリモデリングが示唆されました。
美容領域への応用
ラジオ波療法の応用は、筋骨格系の治療だけにとどまりません。ある研究では、高体温用量のラジオ波療法を手技療法と組み合わせて臀部の組織弛緩に使用したところ、満足のいく結果が得られたと報告されています。
さらに、高強度での使用により、腹囲の周囲径、皮下脂肪の厚さ、皮膚の折り目が減少し、下肢のセルライトの外観が改善されたことが観察されています。いくつかの研究では運動と組み合わせることで、より良い結果が得られたとされています。
ただし、これらの効果については、さらなる研究が必要とされています。
電極モードの選択と組み合わせ
ラジオ波療法では、キャパシティブモードとレジスティブモードという二種類の電極モードが使用可能です。研究では、両方のモードを組み合わせた使用が最も多く見られました。これは、熱が表層と深層の両方の組織に伝わるためと考えられます。
2020年に発表された電極モードの比較研究では、キャパシティブモードとレジスティブモードを組み合わせた使用が、各モードを単独で使用した場合と比較して、より良い結果をもたらしたと結論づけられています。
治療プロトコルと安全性
系統的レビューで分析された研究では、治療プロトコルに多様性が見られました。周波数としては、多くの研究で440~600kHz(特に448kHz)の範囲が使用されており、治療時間や強度、セッション数は研究によって異なっていました。
一般的には、患者さんが主観的に6~7点(11段階スケール)の温感を感じる程度の熱強度が用いられることが多いようです。治療中は、能動電極を皮膚上で円を描くように継続的に動かし、受動電極は治療部位の下に配置されます。電極と皮膚表面の間には、製造元が提供する導電性クリームがカップリング媒体として使用されます。
安全性の面では、低周波数を使用することで表面の過度な加熱を避けつつ深部組織を温めることができるため、患者さんにとって快適で安全な治療法とされています。ただし、一つの研究では、ラジオ波治療の適用直後にトリガーポイントにおいて一時的な過敏性が示されたことも報告されています(ただし、30分後には他の理学療法手技と比較して10%の痛みの軽減が見られました)。
まとめ
ラジオ波療法は、健康な組織と症状のある組織の両方に対して有益な効果をもたらす可能性が、複数の研究によって示されています。最も一貫して報告されているのは、すべての組織における温度上昇で、表面よりも深部でより大きな温熱効果が得られる点が特徴的です。
症状のある組織の治療においては、ラジオ波療法により痛みの軽減と、筋肉、腱、関節などのさまざまな組織における機能改善が示されています。健康な組織においては、血流の増加と組織の可動性向上により、筋肉と腱の機能が改善される可能性が報告されています。
これらの効果に加えて、細胞増殖や脂肪細胞内の脂質減少も一部の研究で言及されており、今後さらなる検証が期待される分野といえるでしょう。
運動療法や他の理学療法手技との併用により、より良い治療結果が得られる可能性も示唆されており、統合的なアプローチの重要性が浮かび上がっています。
今後、より標準化されたプロトコルの確立や、他の治療法との比較研究、長期的な効果の検証など、さらなる研究の積み重ねにより、ラジオ波療法の臨床的位置づけがより明確になっていくことが期待されます。
参考文献
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- Nakamura, M., Sato, S., Kiyono, R., et al. (2022). The Effect of Capacitive and Resistive Electric Transfer Intervention on Delayed-Onset Muscle Soreness Induced by Eccentric Exercise. International Journal of Environmental Research and Public Health, 19(9), 5723.
- Yokota, Y., Tashiro, Y., Suzuki, Y., et al. (2018). Effect of Capacitive and Resistive electric transfer on changes in muscle flexibility and lumbopelvic alignment after fatiguing exercise. Journal of Physical Therapy Science, 30(5), 719-725.
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- Giombini, A., Giovannini, V., Cesare, A., et al. (2007). Hyperthermia induced by microwave diathermy in the management of muscle and tendon injuries. British Medical Bulletin, 83(1), 379-396.
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本稿は、2023年に発表された系統的レビュー論文を主要な資料とし、2018年から2024年にかけて発表された複数の関連研究を参照して作成されています。各研究の詳細については、上記の参考文献リストをご参照ください。


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