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こんにちは!陣内です。
今回の記事も基礎研究を踏まえて考察していますが、研究結果をそのまま臨床に当てはめるのではなく、私自身の臨床経験や解釈、仮説も含めて整理しています。内容を鵜呑みにせず、ご自身でも調べ、検証しながら臨床に活かしていただければと思います。
今回はTENS(経皮的電気神経刺激)について考えてみます。TENSは電気治療器の基礎的な部分になります。
ここの理解が深まると干渉波などの理解も深まると思います。
さてTENSと聞くとゲートコントロール理論を思い浮かべる先生も多いのではないでしょうか。太い感覚神経を刺激することで脊髄後角における痛みの伝達を抑制するという説明です。
この考え方は現在でもTENSを理解するうえで役立ちますが基礎研究を読んでいくとそれだけでは説明しきれない現象がいくつも出てきます。
例えば、皮膚に電極を貼っているのに、皮膚からの求心性入力を減らしても抗痛覚過敏作用が維持されたという動物実験があります。脊髄や脳幹のオピオイド受容体を遮断すると、TENSの作用が妨げられたという報告もあります。
さらに、パルス幅を変えれば神経の興奮条件は変わるはずなのに、実験で測定される抗痛覚過敏作用には明確な差が認められない場合もあります。
こうした研究を見ているとTENSを単純に「Aβ線維を刺激してゲートを閉じる治療」と説明するのは少しもったいないように感じます。
今回は、TENSによってどのような神経が興奮するのか鎮痛にどのような神経回路が関わるのかそして刺激条件によって何が変わるのかを考えてみたいと思います。
今回もちゃんと沼記事ですよ!
TENSはどの神経を刺激しているのか

TENSはTranscutaneous Electrical Nerve Stimulationの略で、日本語では経皮的電気神経刺激と呼ばれます。
皮膚表面に配置した電極から電気刺激を与え主に神経系を介して疼痛を調節することを目的とした方法です。
TENSという名称は特定の波形や周波数を表すものではありません。
一般的にはパルス状の電気刺激が使用されますが刺激条件や出力方式は機器によって異なります。
では皮膚表面から電気刺激を与えたとき実際にはどのような神経が興奮しているのでしょうか。
神経線維にはAα線維、Aβ線維、Aδ線維、C線維などがあります。
Aα線維には運動神経や筋紡錘の一次求心性線維などが含まれ、Aβ線維は主に触圧覚などに関係します。一方、Aδ線維やC線維には侵害受容に関係する求心性線維が含まれます。
一般的な感覚レベルのTENSでは比較的太い有髄求心性神経線維が興奮しやすいと考えられています。
ただ、外部から電気刺激を与えたときの興奮閾値は神経線維の太さだけで決まるわけではありません。電極と神経の距離、神経の走行、組織内の電場分布、刺激パルス幅などによって変化します。
皮膚表面から電気刺激を与えると、組織内に電場が形成されます。その電場によって神経線維に沿った細胞外電位の分布が変化し、神経膜の一部に脱分極や過分極が生じます。条件によっては脱分極が閾値に達し、活動電位が発生します。
つまり、治療器の出力値が同じであってもすべての神経に同じ刺激が加わるわけではありません。
電極の真下にある神経だけが刺激されるわけではない
電気刺激による神経興奮を考えるとき電極の真下にある組織だけを見ていては十分ではありません。
組織内の電流分布は、電極の大きさや配置、組織の電気的特性などによって変化します。神経の走行方向も関係するため、同じ位置にある神経であっても電場に対する向きが違えば興奮条件が変わる可能性があります。
この問題を考えるうえで参考になるのがRattay(1986)による外部電気刺激の神経モデルです。
Rattayは、細胞外から電気刺激を与えた際の軸索の応答について神経線維に沿った細胞外電位の空間的な変化に注目しました。
単純化した神経モデルでは神経線維に沿った細胞外電位の二階空間微分が刺激による膜電位変化の初期応答に関係する指標として扱われます。いわゆるactivating functionです。
例えば神経線維に沿って細胞外電位が一様に変化する場合と場所によって急激に変化する場合では神経膜に生じる応答が異なる可能性があります。
そのため、単純に電場が強い場所が必ず神経の最も興奮しやすい場所になるとは限りません。
ただし、activating functionだけで実際の神経興奮を決定できるわけではありません。軸索の形態、有髄神経のランビエ絞輪、膜のイオンチャネル特性、刺激の持続時間なども関係することが考えられます。
また、皮膚、皮下脂肪、筋、神経などは、それぞれ電気的特性が異なります。実際の生体組織では、電流が均一に流れているわけではありません。
電極間距離を広げれば必ず深部を刺激できる、あるいは電極を小さくすれば必ず特定の神経だけを刺激できるという単純な関係ではないのです。
このように考えると、同じTENSという名称であっても電極配置や出力条件によって神経への入力が異なる可能性があることが分かります。
深部組織からの求心性入力も関係するのか
RadhakrishnanとSluka(2005)は、膝関節に炎症を起こしたラットを用いて、TENSによる抗痛覚過敏作用に皮膚と関節からの求心性入力がどのように関係するかを調べました。
研究ではカオリンとカラゲニンによって膝関節炎を誘発し足部への熱刺激に対する逃避潜時を測定しています。
逃避潜時とは熱刺激を加えてから足を引っ込めるまでの時間です。炎症によって熱刺激に過敏になるとこの時間が短くなります。
実験では、膝周囲の皮膚に局所麻酔クリームを使用した条件と、膝関節内にリドカインを投与した条件を比較しました。
その結果、皮膚に麻酔クリームを使用しても、4Hzと100HzのTENSによる抗痛覚過敏作用は維持されました。一方、膝関節内にリドカインを投与するとその作用が認められなくなりました。
さらに、この研究では脊髄背側電位の記録も行われています。
感覚レベルの4Hzおよび100HzのTENSでは主に太い求心性神経線維の活動が確認されました。一方、刺激強度を運動閾値の2倍まで上げると、Aδ線維の動員も認められています。
皮膚に局所麻酔クリームを使用した場合、脊髄背側電位の振幅は40〜70%減少しました。つまり、皮膚からの太い求心性線維の入力は実際に減少していたと考えられます。
それにもかかわらずTENSの抗痛覚過敏作用は維持されていました。
この結果は興味深いと思います。
感覚レベルのTENSでも太い求心性神経線維が興奮していることさらに、その入力が必ずしも皮膚由来だけではないことが示唆されているからです。
ただし、この研究で評価されたのは炎症によって生じた熱刺激への過敏な反応です。ラットが痛みの軽減を自覚したという意味ではありません。
また、局所麻酔による遮断実験では、薬剤がどの範囲に作用したかという問題もあります。この結果だけで、ヒトのTENSでも皮膚からの入力が不要だと判断することはできません。
それでも、TENSを「皮膚の感覚神経だけを刺激する方法」と説明するには少し無理があるように感じます。
電極の位置や刺激条件によって皮膚だけでなく深部組織に関係する求心性神経の活動も変化する可能性があるからです。
ゲートコントロール理論だけでは説明できない鎮痛機序

TENSの鎮痛機序として広く知られているのが1965年にMelzackとWallが提唱したゲートコントロール理論です。
脊髄後角では、末梢から入ってきた侵害受容情報が、そのまま上位中枢へ伝わるわけではありません。局所の抑制性神経回路や上位中枢からの入力によって調節されています。
触圧覚などに関係する太い有髄求心性神経線維からの入力が、脊髄後角で侵害受容情報の伝達に影響するという考え方は、TENSを理解するうえで現在でも役立ちます。
ただ、ゲートコントロール理論はTENSの作用をすべて説明するために提唱された理論ではありません。
実際にはTENSによる求心性入力が脊髄の局所回路だけでなく脳幹を含む下行性疼痛調節系にも影響することが研究されています。
その一つが延髄吻側腹内側部(RVM)です。
RVMは中脳水道周囲灰白質(PAG)などとともに下行性疼痛調節に関係する領域で脊髄後角における侵害受容情報の処理に影響します。
Kalraら(2001)は、炎症モデルのラットでRVMにオピオイド受容体拮抗薬を投与し、TENSの抗痛覚過敏作用がどう変化するかを調べました。
研究では4Hzと100HzのTENSを使用しています。
4HzのTENSによる抗痛覚過敏作用はRVMのμオピオイド受容体を遮断することで妨げられました。一方、100HzのTENSではδオピオイド受容体の遮断によって作用が妨げられています。
この結果は、TENSによる抗痛覚過敏作用に、RVMのオピオイド受容体を介した神経機構が関与していることを支持しています。
皮膚表面から電気刺激を与えているにもかかわらず、脳幹の受容体を遮断すると作用が変わるわけです。
RVMを含む下行性疼痛調節系は、常に痛みを抑える方向だけに働くわけではありません。神経回路の状態によっては、侵害受容情報の伝達を促進することもあります。
TENSによる求心性入力が、こうした複雑な神経回路の活動に影響していると考えられます。
低頻度と高頻度ではオピオイド受容体の関与が違う
低頻度TENSと高頻度TENSでは関与する内因性オピオイド系が異なるという研究があります。
Slukaら(1999)は、膝関節炎モデルのラットを用いて、脊髄のμ・δ・κオピオイド受容体をそれぞれ遮断し、TENSの抗痛覚過敏作用を検討しました。
4HzのTENSでは、μオピオイド受容体の遮断によって抗痛覚過敏作用が妨げられました。100Hzでは、δオピオイド受容体の遮断によって作用が妨げられています。
一方、κオピオイド受容体の遮断では、どちらの周波数でも同様の影響は認められませんでした。
この研究では、受容体拮抗薬を使用することで、低頻度と高頻度のTENSが異なるオピオイド受容体を介して作用することが示唆されています。
先ほどのKalraらによるRVMの研究と合わせると、周波数によるオピオイド受容体の関与の違いは、脊髄だけでなく脳幹でも検討されていることが分かります。
ここで誤解したくないのは、TENSがオピオイド受容体そのものを電気刺激しているわけではないということです。
末梢神経への電気刺激によって神経回路の活動が変化し、その結果として内因性オピオイド系が抗痛覚過敏作用に関与すると考えられています。
また、これらは特定の炎症モデルと刺激条件で得られた結果です。4Hzならμ受容体だけ、100Hzならδ受容体だけが働くという意味でもありません。
鍼通電でも周波数と内因性オピオイド系の関係が研究されています。以前の記事では鍼通電2Hzにおける鎮痛機序と鍼通電100Hzにおける鎮痛機序についてそれぞれ詳しく整理しています。


ただし、鍼通電とTENSでは電極の形状や配置、組織内の電場分布などが異なります。同じ100Hzであっても、両者が同じ神経入力を生じさせるとは限らず、周波数とオピオイド受容体の関係をそのまま共通の仕組みとして扱うことには注意が必要です。
GABAの研究から見えてくること
TENSの鎮痛機序は内因性オピオイド系だけで説明できるものでもありません。
Maedaら(2007)はラットの膝関節炎モデルでTENSによって脊髄後角のGABAがどのように変化するかを調べています。
GABAは中枢神経系の代表的な抑制性神経伝達物質です。
この研究ではマイクロダイアリシスという方法を用いて脊髄後角の細胞外液を採取しGABA濃度を測定しました。
その結果高頻度TENSでは細胞外GABA濃度の増加が報告されています。一方、低頻度TENSでは同様の増加は確認されませんでした。
ところがGABA_A受容体を遮断すると低頻度と高頻度の両方で抗痛覚過敏作用が妨げられました。
低頻度TENSでは細胞外GABA濃度の増加が測定されなかったのにGABA_A受容体を遮断すると作用が変わったのです。
細胞外液中のGABA濃度を測定することとGABA_A受容体が抗痛覚過敏作用に関与するかを調べることは異なる実験です。
そのため測定されたGABA濃度が増加しなかったことからGABAが関与していないと判断することはできません。
マイクロダイアリシスには時間的・空間的な測定の限界もあり神経回路内のGABAの働きをすべて捉えられるわけではありません。
TENSではセロトニン系などの関与も報告されています。セロトニンは受容体の種類や神経回路によって疼痛を抑制する場合もあれば促進する場合もあります。
TENSの作用を「ゲートコントロール」「内因性オピオイド」「GABA」と別々に覚えるより末梢からの入力が複数の神経回路に影響していると考えた方が研究結果を理解しやすいのかもしれません。
周波数・パルス幅・刺激強度は何を変えているのか

ここまで神経回路の話をしてきましたが今度は治療器の設定について考えてみます。
例えば2台の治療器を100Hzに設定したとします。
周波数が同じであってもパルス幅や電流振幅、波形が異なれば、神経への刺激は同じになりません。
100Hzという数値が示しているのは基本的には1秒間に100回の刺激周期があるということです。
神経の興奮には刺激の強さと持続時間の組み合わせが関係します。これがstrength–duration関係です。

一般に短いパルスでは神経を興奮させるために大きな電流が必要になりパルス幅を長くすると必要な電流強度は低下する傾向があります。
この関係を近似する代表的な式として、Lapicque型のstrength–duration関係があります。
Ith=Ir(1+tc/t)
Ithは興奮に必要な電流強度Irはレオベース、tcはクロナキシー、tは刺激持続時間です。
この式では刺激持続時間がクロナキシーと等しいとき興奮に必要な電流強度はレオベースの2倍になります。
実際のTENSでは皮膚や電極界面の電気的特性、二相性波形などが関係するためこの式だけですべての神経の興奮閾値を予測できるわけではありません。
それでも、パルス幅によって神経興奮の条件が変化することを理解するには役立ちます。
矩形の定電流パルスであれば、一相あたりの電荷量は次の式で計算できます。
Q=I×t
例えば1mAの矩形パルスであれば、100μsでは0.1μC、300μsでは0.3μCとなります。
同じ電流振幅でも、パルス幅が3倍になれば一相あたりの電荷量も3倍になります。
では、0.5mAで200μsと1mAで100μsの刺激はどうでしょうか。
どちらも一相あたりの電荷量は0.1μCですが電流振幅と持続時間の組み合わせが異なるため神経の興奮条件まで同じになるとは限りません。
また、二相性波形では正負の相で電荷が釣り合っていても、神経膜に対する作用まで相殺されるわけではありません。
電荷平衡は電極界面の電気化学的な影響を考えるうえで重要ですが、電荷量だけで神経刺激の強さを判断することはできないのです。
パルス幅を変えると鎮痛効果も変わるのか
ここでGopalkrishnanとSluka(2000)の研究を紹介します。
この研究ではラットの後肢足部にカラゲニンで炎症を起こし、TENSの周波数、刺激強度、パルス幅を変えて抗痛覚過敏作用を調べました。
周波数は4Hzと100Hz、刺激強度は感覚レベルと運動レベル、パルス幅は100μsと250μsです。TENSは炎症を起こした足部に20分間使用されています。
結果として100HzのTENSでは熱刺激と機械刺激に対する痛覚過敏の軽減が認められました。一方、4Hzでは同様の効果は確認されませんでした。
また、100Hzの運動レベル刺激では、自発痛に関連する行動の軽減も報告されています。ただし、痛覚過敏の評価と自発痛関連行動の評価は異なるため、それぞれを区別して解釈する必要があります。
検討された条件では、刺激強度やパルス幅による統計学的に有意な差は検出されませんでした。
ただし、機械刺激に対する解析では、刺激強度がp=0.055、パルス幅がp=0.058と、有意水準の近くに位置していました。
この結果を「刺激強度やパルス幅は鎮痛効果に影響しない」と解釈するのは適切ではありません。今回の実験条件とサンプルサイズでは、有意な差を検出できなかったということです。
では、なぜ100Hzでは効果が認められ、4Hzでは認められなかったのでしょうか。
ここからは私自身の考察になります。
今回の研究で興味深いのは100Hzでは抗痛覚過敏作用が認められた一方、4Hzでは同様の効果が確認されなかったことです。
低頻度TENSにも鎮痛作用が報告されていることを考えると単純に100Hzの方が鎮痛効果に優れているとは考えにくいところです。
一つの仮説として刺激強度と神経線維の動員の違いが関係している可能性があります。
TENSでは周波数だけでなく、パルス幅や刺激強度によって神経線維の興奮しやすさが変わります。特に低頻度TENSでは、刺激強度が十分でなければ期待する鎮痛機序を動員できない可能性があります。
また今回評価されているのは炎症によって生じた熱刺激や機械刺激に対する痛覚過敏です。これは臨床で患者さんが訴える安静時痛や運動時痛と必ずしも同じものではありません。
つまり、今回の結果は100Hzが4Hzより優れているというよりも、この炎症モデルと刺激条件、評価方法の組み合わせでは100Hzの効果が検出されやすかったと考えることもできます。
パルス幅についても同様です。100μsと250μsで有意差がなかったとしても、神経線維の興奮に違いがなかったとは限りません。パルス幅を変えることで、同じ刺激強度でも神経に与える刺激は変化します。
そう考えると、TENSの鎮痛効果を周波数だけで比較することには限界があります。周波数、パルス幅、刺激強度、そして何を痛みの指標として評価するのか。これらを組み合わせて考える必要があるのではないでしょうか。
一次性痛覚過敏と二次性痛覚過敏では結果が違う

炎症による痛覚過敏には炎症が起きている部位で生じる一次性痛覚過敏とその周囲や離れた部位に広がる二次性痛覚過敏があります。
一次性痛覚過敏には炎症性メディエーターなどによる末梢侵害受容器の感作が関係します。一方、二次性痛覚過敏では中枢神経系における侵害受容情報の処理の変化が重要になります。
もちろん、両者を完全に切り離して考えられるわけではありませんが評価している現象は同じではありません。
Gopalkrishnanら(2000)の研究では、炎症を起こした足部の一次性痛覚過敏が評価されました。
一方、Slukaら(1998)は、膝関節に炎症を起こしたラットで、足部への熱刺激に対する二次性痛覚過敏を評価しています。
この研究では4Hzと100Hzの両方で二次性痛覚過敏の軽減が認められました。
さらに高頻度TENSの作用は少なくとも24時間、低頻度TENSの作用は12時間まで認められたと報告されています。
ただし、この研究では、自発痛に関連する行動や関節周径について対照群と比較した明確な改善は認められていません。
つまり、熱刺激に対する過敏な反応が改善したからといって炎症に伴うすべての症状が改善したわけではないのです。
KingとSluka(2001)も、膝関節炎モデルで二次性の機械的痛覚過敏を評価しています。
この研究では4Hzと100Hzの両方で二次性機械的痛覚過敏の軽減が認められました。また、感覚レベルと運動レベルの刺激強度の間にも、明確な効果の差は認められていません。
これらの研究を比較すると、一次性痛覚過敏と二次性痛覚過敏では、TENSの周波数に対する反応が異なる可能性があります。
ただし、研究間では炎症部位や刺激条件、評価方法も異なるため、結果の違いを一次性・二次性という分類だけで説明することはできません。
それでも、同じ「痛覚過敏の軽減」という表現であっても、何を測定しているかによって意味が変わることは理解しておきたいところです。
臨床でも、安静時痛、圧痛、動作時痛、荷重時痛などは、それぞれ異なる側面を評価しています。
TENSによって一つの痛みが軽減したとしても、ほかの痛みまで同じように変化するとは限りません。
定電流と定電圧の違い
TENSでは、出力方式についても考えておきたいと思います。
定電流方式では、装置の対応範囲内で設定した電流を維持するように制御します。
定電圧方式では、設定した電圧を維持するように制御するため、負荷インピーダンスが変化すると電流も変化します。
皮膚や電極界面には抵抗性成分だけでなく容量性成分もあり刺激波形や時間経過によって電気的な応答が変化します。
定電流方式では、こうした負荷の変化に対して出力電圧を調整することで、設定電流を維持しようとします。
ただし、装置には出力可能な電圧範囲があります。その範囲を超えれば、設定した電流を維持できない場合もあります。
また定電流方式で一定に保とうとしているのは、装置から出力される電流です。神経膜に生じる電位変化まで一定に保っているわけではありません。
電極の位置や接触状態、組織内の電場分布が変われば、同じ電流設定でも神経への作用が変化する可能性があります。
定電流と定電圧のどちらが臨床的に優れているかは、出力方式だけで判断できませんが、異なる治療器の刺激条件を比較する際には無視できない部分です。
刺激強度と鎮痛耐性

TENSの設定では周波数が注目されがちですが刺激強度についても多くの研究が行われています。
Chestertonら(2003)は、健康成人240人を対象に、周波数、刺激強度、刺激部位を変えたTENSの効果を検討しました。
周波数は4Hzと110Hz、パルス幅は200μs、刺激時間は30分です。
研究では分節性刺激、非分節性刺激、両者を組み合わせた刺激などが比較されています。
分節性刺激とは、痛みのある部位と同じ、あるいは関連する脊髄分節に感覚入力を与える刺激です。脊髄後角での痛覚情報の抑制などが関与すると考えられています。
一方、非分節性刺激は痛みのある部位とは異なる脊髄分節に入力を与える刺激です。脳幹を介した下行性疼痛調節系などの関与が考えられます。
刺激強度については「強いが快適な刺激(strong but comfortable)」と「耐えられる最大強度(highest tolerable intensity)」が区別されています。
この研究で特に注目したいのは110Hzの高頻度TENSを耐えられる最大強度で使用した条件です。
110Hzの高強度刺激を分節性の部位に加えた群と、分節性・非分節性を組み合わせた群では、圧痛閾値の有意な上昇が認められました。
特に110Hzの分節性刺激群では刺激終了後20分まで圧痛閾値の上昇が持続しました。
一方、その他の刺激条件では、偽刺激群と同程度の反応であり、同様の明確な鎮痛反応は認められませんでした。
ここでいう高強度とは、単純に装置の電流値が大きいという意味ではありません。被験者が耐えられる刺激の強さを基準として設定されています。
また、この研究で用いられた高頻度・高強度TENSは、一般的な感覚レベルのTENSとは区別して考える必要があります。原著では、強縮性の筋収縮を伴うことがある強い刺激として説明されています。
この結果からは、周波数だけでなく、刺激強度と刺激部位の組み合わせによって鎮痛反応が変化する可能性が考えられます。
ただし、対象は健康成人であり、評価されたのは圧痛閾値です。疼痛患者でも同じ条件が最適であると判断することはできません。
臨床では、患者さんに痛みや強い不快感を我慢させてまで刺激強度を上げるのではなく、治療目的や患者さんの状態に合わせて調整する必要があると思います。
TENSでは、強いが痛みを伴わない刺激が使用されることがありますが、患者さんに痛みや強い不快感を我慢させる必要はありません。
TENSは繰り返すと効かなくなるのか
TENSを使用していると、最初は強く感じていた刺激が時間の経過とともに弱く感じられることがあります。
これは刺激感覚の順応などが関係すると考えられます。
一方、TENSを繰り返し使用することで鎮痛反応そのものが減弱する現象も研究されています。
Liebanoら(2011)は、健康成人100人を対象に、4Hzと100HzのTENSを5日間連続で使用しました。
対象者は対照群、プラセボ群、低頻度TENS群、高頻度TENS群に分けられ、圧痛閾値などが評価されています。
初日にはTENSによる圧痛閾値の上昇が認められましたが連日使用することでその反応が減弱しました。
この研究は、ヒトでも繰り返しのTENSによって実験的な鎮痛反応が減弱する可能性を示しています。
ただし、対象は健康成人であり慢性疼痛患者にTENSを5日間使用すると必ず効かなくなるという意味ではありません。
また、刺激を弱く感じるようになる感覚の順応と、鎮痛反応そのものが減弱する鎮痛耐性は、区別して考える必要があります。
動物実験では、繰り返しTENSによる鎮痛耐性にオピオイド受容体やNMDA受容体が関与する可能性も報告されています。
このことから、鎮痛耐性には中枢神経系の可塑的な変化が関係している可能性があります。
治療器に搭載されている周波数変調機能についても、刺激感覚の順応を軽減することと、鎮痛耐性を防ぐことは別の問題です。
周波数を変化させることで刺激の感じ方が変わったとしても、鎮痛耐性まで防げるとは限りません。
繰り返しTENSを使用する場合には、刺激の感じ方だけでなく実際の疼痛や動作時の反応がどう変化しているかを確認する必要があります。
臨床研究ではTENSの効果をどう評価しているのか

ここまで基礎研究を中心に見てきましたが実際の患者さんに対する有効性は臨床研究から判断する必要があります。
Johnsonら(2022)は、381件のランダム化比較試験、合計24,532人を含むシステマティックレビューとメタ解析を報告しています。
この研究ではTENS実施中または直後の疼痛強度に注目しています。
プラセボとの比較に用いられた91件のRCT、4,841人の解析では、標準化平均差(SMD)は−0.96、95%信頼区間は−1.14〜−0.78でした。
エビデンスの確実性は中程度と評価されています。
この結果はTENS実施中または直後の疼痛軽減を支持するものです。
一方、研究間の統計学的異質性はI²=88%と高く、効果量にはばらつきがありました。
SMDは異なる疼痛尺度を標準化した指標なのでこの数値をそのままNRSの何点分に相当すると解釈することはできません。
また、この研究の中心的な評価時点はTENS実施中または直後です。長期間にわたって疼痛改善が続くかどうかについては、別の検証が必要です。
Gibsonら(2019)のCochraneレビューでは慢性疼痛に対するTENSの有効性についてエビデンスの確実性が非常に低く明確な結論を出すことができないとされています。
両者の結論が異なる背景には、対象研究や評価時点、解析方法の違いがあります。
2019年のレビューがTENSの効果を否定し、2022年のメタ解析がそれを覆したという単純な関係ではありません。
TENSを実施している最中の痛みを評価するのか、長期的な疼痛改善を評価するのかによって、研究が答えようとしている問いは変わります。
また、TENSという名称でまとめられていても刺激強度や電極配置、使用時間などは研究ごとに異なります。
TENSの有効性を一つの数字だけで説明するのは難しいと思います。
活動中の痛みにTENSを使用するという考え方
Daileyら(2020)は線維筋痛症の女性301人を対象に、活動中のTENSを4週間使用するランダム化比較試験を行いました。
対象者は実刺激群、偽刺激群、無刺激群に分けられています。
TENSは腰部と頸胸部に使用され、周波数は2〜125Hzの変調刺激、強度は耐えられる範囲で高い設定でした。
被験者は自宅で1日2時間、活動中にTENSを使用するよう指示されています。
その結果、4週間後の動作時疼痛は、実刺激群で偽刺激群より平均1.0ポイント、無刺激群より平均1.8ポイント大きく減少しました。
評価には0〜10点の疼痛尺度が使用されています。
この研究が興味深いのはTENSを安静時に使用するだけでなく、活動中の疼痛調節として検討している点です。
疼痛によって運動や日常生活の活動が制限されている場合一時的な鎮痛が活動を行いやすくする可能性があります。
ただし、対象は線維筋痛症患者です。肉離れや腱障害、靱帯損傷などに同じ効果が得られるかどうかは、疾患ごとに検討する必要があります。
また、疼痛が軽減したことと、損傷組織の耐荷重能力が改善したことも区別する必要があります。
TENSを臨床でどう位置づけるか

ここまでの研究を踏まえると、TENSを臨床で使用するときには周波数やパルス幅だけで設定を考えるのは難しいことが分かります。
4Hzと100Hzでは関与するオピオイド受容体に違いが報告されていますしパルス幅によって神経の興奮条件も変化します。しかし、こうした神経生理学的な違いがそのまま患者さんの鎮痛効果の違いになるとは限りません。
では、実際の臨床では何を基準に設定を選べばよいのでしょうか。
感覚レベルと運動レベルをどう使い分けるか
まず考えたいのが刺激強度です。
TENSでは筋収縮を伴わない感覚レベルの刺激と筋収縮が生じる運動レベルの刺激が使用されます。
ただし、運動レベルの刺激だからといって必ずNMESになるわけではありません。筋収縮を伴うTENSもありますし、筋活動や筋力の改善を目的とするNMESとは治療目的が異なります。
前述したRadhakrishnanら(2005)の研究では、刺激強度を高めることでAδ線維の動員も認められています。一方、KingとSluka(2001)の動物実験では、感覚レベルと運動レベルで抗痛覚過敏作用に明確な差は認められませんでした。
つまり、強い刺激によって動員される神経線維が変化することと、鎮痛効果が高まることは別の問題です。
臨床で鎮痛を目的とするなら、私はまず、患者さんが十分に刺激を感じられ、痛みや強い不快感を伴わない強度を検討するのが現実的だと考えています。
これは感覚レベルの方が運動レベルより優れているという意味ではありません。現在の研究から、すべての患者さんに共通する最適な刺激強度を決めることはできないからです。
また、TENSを使用しながら運動するのか、安静位で使用するのかによっても判断は変わります。
例えば、歩行やスクワットを行いながらTENSを使用する場合、強い筋収縮が動作を妨げることも考えられます。安静位で使用するのであれば、多少の筋収縮があっても問題にならない場合があります。
筋収縮を起こすこと自体を目標にするのではなく、患者さんの疼痛や動作にどのような変化が得られるのかを見ていきたいところです。
急性痛と慢性痛で設定を変える必要があるのか
急性痛には高頻度、慢性痛には低頻度という説明を見かけることがあります。
しかし、痛みが続いている期間だけで最適な周波数を決定できるほどの根拠はありません。Johnsonら(2022)のメタ解析でも、急性痛と慢性痛の分類によってTENSの鎮痛効果に明確な違いは認められていません。
だからといって、急性痛と慢性痛に同じ設定を使用すべきだということでもありません。
例えば、急性期の足関節捻挫では、疼痛だけでなく腫脹や荷重能力、関節の安定性などを考える必要があります。TENSによって荷重時痛が軽減したとしても、損傷した靱帯の機械的強度まで回復したわけではありません。
反対に、慢性疼痛では、痛みによって活動量が低下していたり、特定の動作を避けていたりする患者さんもいます。そのような場合、一時的な鎮痛によって運動療法や日常生活の活動に取り組みやすくなる可能性があります。
もちろん、慢性痛だから中枢性感作が起きている、急性痛だから末梢組織だけが問題になっているという単純な区別はできません。
私が臨床で考えたいのは、急性か慢性かという分類だけではなく、患者さんがどのような場面で痛みを感じ、何が制限されているのかということです。
安静時痛を軽減したいのか、歩行時痛を軽減したいのか、それとも運動療法を行いやすくしたいのか。
目的が異なれば、使用する場面や評価する項目も変わってきます。
パルス幅をどう調整するか
パルス幅についても、神経興奮の理論と臨床効果を分けて考える必要があります。
一般に、パルス幅を長くすると、神経を興奮させるために必要な電流振幅は低下する傾向があります。しかし、パルス幅を長くすれば鎮痛効果が大きくなるという関係は確立されていません。
前述したGopalkrishnanら(2000)の研究でも、100μsと250μsの比較で抗痛覚過敏作用に統計学的に有意な差は検出されませんでした。
臨床でパルス幅を変更すると、刺激の感じ方が変わることがあります。
例えば、100μsから250μsに変更したとき、電流振幅を固定したまま比較すれば、一相あたりの電荷量が変わります。一方、患者さんが感じる刺激の強さを同程度に調整すれば、電流振幅を変更する必要が生じるかもしれません。
さらに同じ強さに感じたとしても、同じ神経線維が同じように興奮しているとは限りません。
そのためパルス幅を調整する際には、電流値だけでなく、刺激の感じ方や不快感、実際の疼痛変化を合わせて確認する必要があります。
現時点では特定のパルス幅を選択すれば臨床的な鎮痛効果が高まると一律に判断することは難しいと思います。
TENSの効果を何で判断するのか
私が臨床で特に重視したいのは、この部分です。
TENSを使用したあとに患者さんから「少し楽になりました」と言われることはあると思います。しかし、それだけでは何がどの程度変化したのか分かりません。
例えば、膝蓋腱症の患者さんでスクワット時に痛みがある場合を考えてみます。
まず、TENSを使用する前にスクワットの深さや回数、速度をある程度そろえ、そのときの疼痛をNRSで確認します。
その後、TENS使用中または使用直後に同じ動作を行い、痛みがどの程度変化したのかを評価します。
安静時痛が軽減していても、スクワット時の痛みが変わらなければ、患者さんが困っている症状に対して十分な変化が得られたとは言いにくいでしょう。
反対に、動作時痛が軽減していれば、それまで困難だった運動に取り組みやすくなる可能性があります。
ただし、疼痛が軽減したことだけで腱の耐荷重能力が改善したとは判断できません。動作の質や代償動作、荷重能力なども合わせて確認する必要があります。
また、刺激中に痛みが軽減していても、刺激を止めたあとに同じ効果が続くとは限りません。
TENS使用中、使用直後、一定時間経過後で反応を確認できれば、鎮痛の持続についても考えやすくなります。
もう一つ注意したいのが、一度の施術前後の変化だけでTENSの効果を判断しないことです。
疼痛には自然な変動がありますし、患者さんの期待や動作への慣れ、測定誤差なども関係します。
例えば、NRSが6から4に低下したとしても、その変化がすべてTENSによるものとは限りません。また、何点の変化を臨床的に意味のある改善と判断するかは、患者さんの状態や評価方法によって異なります。
同じ条件で繰り返し評価し、日常生活や運動時の変化も確認することで、その患者さんにとってTENSがどの程度役立っているのかを判断する材料になります。
効果が乏しいときに何を変更するか
TENSを使用しても十分な鎮痛が得られない場合、周波数やパルス幅を変更したくなることがあります。
しかし、その前に確認したいことがあります。
電極が適切に接触しているか、患者さんが十分に刺激を感じているか、刺激によって不快感が生じていないかといった基本的な部分です。
そのうえで設定を変更するのであれば、可能な範囲で変更する項目を絞った方が、患者さんの反応を整理しやすくなります。
例えば、100Hzで効果が乏しかったため4Hzに変更し、同時にパルス幅と刺激強度も変更したとします。
その結果、疼痛が軽減したとしても、周波数を変更したことが理由とは判断できません。
また、周波数やパルス幅を一つだけ変更したとしても、刺激感覚や神経への入力が複合的に変化することがあります。
臨床での設定変更は、特定の刺激条件の有効性を証明する実験ではありません。
それでも、どの条件でどのような反応が得られたのかを記録し、次回以降も同じような変化が見られるかを確認することには意味があると思います。
設定値を細かく変更することよりも、その変更によって患者さんの症状や活動がどう変わったのかを把握することが大切です。
安全性についても確認しておきたい
TENSは非侵襲的な疼痛調節の方法ですが、すべての患者さんに同じように使用できるわけではありません。
植込み型電子機器の有無、刺激部位の皮膚状態、感覚障害などは事前に確認する必要があります。また、頸部前面や胸部を横断するような電極配置など、注意が必要な部位もあります。
実際の使用にあたっては、機器の添付文書や禁忌・注意事項を確認し、患者さんの状態に応じて判断する必要があります。
特に感覚が低下している部位では、患者さんの刺激感覚だけを基準に強度を調整することが難しい場合があります。
強い刺激が必ずしも高い鎮痛効果につながるわけではない以上、痛みや強い不快感を我慢させてまで刺激強度を上げる必要はないと考えています。
TENSによる鎮痛を何につなげるのか
TENSによって疼痛が軽減した場合、その変化をどのように活用するかも考えたいところです。
前述したDaileyら(2020)の研究では、線維筋痛症の患者さんに対して活動中にTENSを使用し、動作時疼痛の軽減が報告されています。
対象疾患が異なるため、その結果をスポーツ障害に直接当てはめることはできません。しかし、TENSを安静時の鎮痛だけでなく、活動を支える手段として考える視点は参考になります。
例えば、疼痛によって十分な運動ができない患者さんで、一時的な鎮痛が得られたとします。
その状態で必要な運動に取り組みやすくなるのであれば、TENSを使用する意味があるかもしれません。
一方、痛みが軽減したからといって、運動負荷を無制限に増やしてよいわけではありません。筋力や可動域、組織の状態、症状の経過などを踏まえて負荷量を調整する必要があります。
また、TENSを使用した方が運動療法の長期的な成績まで改善するかどうかは、疾患や介入内容によって検証が必要です。
TENSは、それ自体で組織修復を進めることを目的とした方法ではありません。
私自身は、TENSを使用することが治療の最終目標になるのではなく、患者さんが必要な活動を行いやすくするための選択肢の一つとして考えています。
神経生理学的な作用を理解することは、刺激条件を考えるうえで役立ちます。ただ、その設定が患者さんにとって適切だったかどうかは、実際の反応を見なければ分かりません。
TENSによって何を改善したいのか。その変化をどのように評価するのか。そして、得られた鎮痛を次の治療にどうつなげるのか。
臨床では、そこまで含めて考えていきたいと思います。
まとめ
TENSは比較的身近な電気治療ですがその鎮痛機序はゲートコントロール理論だけで説明できるものではありません。
皮膚表面から電気刺激を与える方法でありながら、深部組織からの求心性入力や、脊髄・脳幹のオピオイド受容体、GABA系などが抗痛覚過敏作用に関係することが基礎研究で報告されています。
さらに、同じ周波数であってもパルス幅や刺激強度、電極配置、出力方式によって神経への入力は変わります。
一方、神経興奮の条件が変わることと、臨床的な鎮痛効果が変わることは必ずしも一致しません。
基礎研究では、炎症部位の一次性痛覚過敏と、離れた部位に生じる二次性痛覚過敏で、TENSに対する反応が異なる可能性も示されています。
臨床研究では、TENS実施中または直後の疼痛軽減を支持する結果が報告されていますが、長期的な有効性や最適な刺激条件については、まだ不明な部分も残されています。
TENSを組織修復そのものを目的とする治療として考えるのではなく、疼痛を調節することで患者さんの活動や運動療法を支える選択肢として考えることには意味があると思います。
普段何気なく使用しているTENSも、神経生理学的な作用や刺激条件を掘り下げていくと、まだまだ考えることが多い電気治療です。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。
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